美しくなりたい
母から手紙が届いた。
瞬間、やめてくれ、と思った。
例えばそこに、「神様を信じた方があなたのためなんですよ」「神様に許して頂けるよう私がお金を払っておきましたからね」なんて書いてあったら、どうしよう。それこそ爆発しそうだった。もうそういうことに一切、関わりたくなかった。
でも一緒に年末調整のハガキが来ていたので、どっと安心した。きっと実家に来ていた書類か何かを送ってくれたんだろう。エレベーターの中で封筒を透かして見ると、線が見える。手紙だ。また鼓動が早まる。
嫌なことは後に残したくなくてすぐに空けた。
お土産をありがとう、美味しかったよ、お正月は帰っておいでという手紙だった。
疑って怯えて嫌がった自分が本当に醜く思えた。
もう嫌だ。
母はいつも純粋だし、私を想っている。
純粋で、私を想っているから、私に宗教を勧めるのだ。
母の優しさを受け取れる自分でありたかった。
母を愛している。
母に許されたい。
母が怖い。
母に嫌われるのが怖い。